大野総合車両所ってどんなところ?1962年に、神奈川県相模原市に開設された、電車を分解して大掛かりな検査や修理などの作業を行うことのできる小田急電鉄では一番大きな施設です。約3万3千平方メートルの広い敷地内には、全般検査や重要部検査などを行う建物が点在し、現在、協力会社のスタッフも合わせ約280人が働いています。

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大野総合車両所マップ

  • 1.車体と台車を切り離す場所

    作業がしやすいように、車輪がついた台車と箱状の車体を切り離します。

  • 2.パンタグラフを整備する場所

    架線から電気を引き込めるように、上げ下げする押付力の整備などを行います。

  • 3.車体をリニューアルする場所

    工程ごとに分かれた格納庫で、塗装や外装のリニューアルを行います。

  • 4.台車を整備する場所

    台車部品の分解・整備・組立て作業を行うほか、
    電車を動かすためのモーターの取外し・取付けなどを行います。

  • 5.車輪を整備する場所

    傷んだ車輪を削る作業を行うほか、新しい車輪に交換をします。

  • 6.車体を作業場所まで移動させる場所

    車体トラバーサという移動装置で、台車と切り離した車体を横に動かし格納庫へ移動します。

※マップはイメージです。

2016年8月26日(金)小田急の整備工場へ行こう!「大野総合車両所見学会」レポート

OPクレジットカード会員さまを対象にしたイベント「小田急の整備工場へ行こう! 大野総合車両所見学会2016夏」が8月26日(金)に、相模大野の大野総合車両所にて開催されました。昨年11月から引き続き、今回で2回目の開催となる見学会には、40組80名の募集に1,600名を超える会員さまからのご応募があり、見事ご当選された方たちに、車体上げ作業や各部品の修理の様子など普段見ることのできない整備風景を見ていただきました。

車両所の”秘密”についてしっかりお勉強!

台風シーズンのためお天気が心配された当日、見事に青空が広がり、朝から大野総合車両所の正門受付には当選者の皆さまが続々と集まってきました。お子さまの手を引くお母さまや、お友達同士で来た2人組 、実際に小田急線で通勤されているご夫婦など、年代も職業もさまざまな方がいらっしゃいましたが、皆さま期待に胸をふくらませ、始まる前から満面の笑顔。車両所の中口所長の挨拶や細野技術員による施設の概要説明の後、黄色いヘルメットをかぶって、いよいよ見学へ!

30トンの車両が浮く!見事なチーム作業に感動

それぞれの班に分かれて、作業所の中に入っていく皆さま。その広さと電車が並ぶ様子に「すごい!」と大感激。最初に見学したのは「車体上げ」の作業。電車の台車部分から車体部分を切り離し、作業用の台車に乗せるため、クレーンで吊って移動させる作業を「車体上げ」と言いますが、車体の四隅に一人ずつ、クレーンの操作者、指揮者を含めて計6人チームで作業を行なっています。今回は特別に、通勤車両(8000形)が別の車両の上を越える「オーバーヘッド」を見せてもらいましたが、大歓声とともにカメラのシャッターの音があちこちから聞こえました。

あんな重い電車が浮くなんて、びっくりしました。電車の底を見ることは普段ないので、貴重な経験です。4方向を「海、山、新宿、小田原」と呼んでいるのには、なるほどと思いました。立つ位置によって左右が違いますものね! ※共同作業で車両など大きな物を動かすとき、「右に1メートル」と指示を出しても、立つ位置によって、左右がそれぞれ異なります。そのため、車両の左右を指し示す用語として内陸側を「山側」、海側を「海側」と言います。ここでは「山側に1メートル」「新宿方向に2メートル」と指示を出しています。

30代女性

運転士気分で出発進行!車掌のようにアナウンス!

続いて通勤車両(8000形)に乗り込み、 スタッフの説明の後、普段は座ることができない運転席に腰かけて記念撮影。「一度は座ってみたかった!」とお子さまばかりか、大人たちも大興奮。「このボタンは何ですか?」と引率のスタッフに質問する人も。写真撮影の後は、アナウンス体験。マイクを握り、「喜多見~、喜多見~、次は成城学園前に止まります」など普段、電車で聞いているフレーズを上手にアナウンスすると同じ班のメンバーの皆さまから大きな拍手が。

アナウンスは一度やってみたかったのに、いざマイクを持つと、とても緊張しました。でも、すごくおもしろかったです。普段、電車で聞いているアナウンスを一生懸命、思い出しました。

7歳男の子

近くでみると大きい!車輪の重さは1枚300kg!

重い車両を支えるのは頑丈な車輪です。普段、じっくりと見る機会はないのですが、実際に間近で見るとその大きさに「こんなに大きいの?」と声が上がります。1枚300キロもある車輪は人の手では動かせないので、クレーンのついた機械で動かします。車輪を車軸から外すときに「バフッ!」ととても大きな音が出るので、皆さまそのたびに、「わっ!」と飛び上がっていました。

こんなに表面が違う!車輪を削ってツルツルに

長い間、運転していると車輪に傷がついたり、凸凹してくるため、電車に乗っていると「カタン、カタン」という音が大きくなっていくことがあります。「レールは車輪よりも硬くできているのですが、その理由は、もしレールの方が柔らかかったら、頻繁に取り換えないとならないから。その時は電車を走らせられません。そこで、車輪の方を柔らかい素材で作って傷はこちらにつくようにするのです」とのスタッフの言葉にうなずきながら、皆さま、削る前の傷がついた車輪と削られた後のツルツルの車輪を見て違いを確認していました。車輪は硬いダイヤモンドチップで削ります。

普段、何も考えずに乗っていたのですが、車輪をこうして新品同様に削ってくれているから安全に動いているんですね。今度から乗る時に、「カタン、カタン」という音に耳をすましてしまいそうです。

40代男性

防音リングとは?叩いて音の違いを実感!

小田急電鉄では騒音を軽減するため、さまざまな取り組みをしていますが、そのひとつが防音車輪。音を軽減するために車輪の一番外側の部分に太さ10ミリくらいの金属リングが埋め込まれているのです。「電車がカーブを曲がる時に響きやすいキーンという高い音がこれで抑えられるんですよ」とスタッフ。皆さまに新旧2種類の車輪をハンマーで叩き、響き方の違いを実感してもらいました。

見えないところにこんな工夫があったとは。たった10ミリのリングでこんなにも音が違うなんておもしろいですね。実際に叩いてみて実感できました。それにしても、近くで見ると車輪って大きい!

20代女性

運転室を切り外して客席に 電車もリニューアル

お手入れをするのは車輪ばかりではありません。時々、古くなった車体の色を塗り変えたり、リニューアルすることもあります。この日は車両の運転室の部分を客席に変える作業をしていました。よく見ると、外装の色が途中で変わっています。「一から客車を作るのではなく、使えるものを利用してリニューアルして使っています」とのこと。中をのぞくと、運転室は切り外され新しい客席が取り付けられていました。

こんな大きな電車もリニューアルしながら、大事に使っているんですね。塗装料も高くて驚いたのですが、それだけ電車が大きなものだということ。普段、何気なく見ている電車も細かいところに目がいきそうです。

30代女性

最後に車両に大集合!楽しい質問が次々と

見学の一番、最後はアナウンス体験をした通勤車両(8000形)に各班の皆さんが全員、大集合。質疑応答では、10歳くらいの女の子から「車両所を建てるのは何年かかりましたか?」という質問や、年配の方から「作業していて大変なことは何ですか?」など次々に手が上がり、スタッフが丁寧に答えていました。なかには、「技術員さん、 一緒に写真に写って!」とおねだりする男の子も。今日、見学していて、とても魅力的な仕事に映ったに違いありません。笑顔で帰る皆さまを門まで見送り手を振るスタッフ。暑い中、皆さま、お疲れ様でした!

参加者のコメント

ごく当たり前のように普段、小田急線に乗っているのですが、まさかこんなに多くの人が電車を整備してくださっているとは思いませんでした。当たり前に動いているのではないのですね。縁の下の力持ちの方々がいるからこそ、安全なのだと分かりました。今日は勉強になりました。60代ご夫婦

一人で参加しました。電車が好きで他の鉄道会社の車両所の見学はしたことがあるのですが、今回は、初めて車両のドアを手で開けさせていただきました。重いのかと思っていたのですが、案外、スムーズに開きました。災害など非常時に開けることがもしかしたらあるかもしれませんよね。いい経験になりました。20代男性

友達同士で参加しました。パンタグラフが間近で見ると大きくてびっくりしました。車輪もスケールがあって、普段、見られないところをじっくり観察できて楽しかったです。一番の思い出はアナウンス体験でした。20代女性

実は小さい頃からこの近所に住んでいます。いったいこの車両所で何が行われているのだろう?といつも不思議に思っていたのですが、今日は長年の秘密が分かりました(笑)。近所の人に早く教えてあげたいですね。大人ですが運転台に座ったら、子供のようにワクワクしてしまいました。50代男性

中口勝己所長

中口 勝己所長

当イベントに40倍以上という高い倍率で応募があったと聞き、驚いています。私たちはお客さまの安全を守るのが仕事ですが、作業中は従業員同士の安全も守らないといけません。ちょっとした気のゆるみが怪我につながることもあるためです。実際に見ていただくと、作業員の大きな声に驚くでしょう。車両所の仕事はほとんどチームで行うため、コミュニケーションをうまく取りながら安全に気を配っているのです。そうした様子もご理解いただけたようで嬉しいですね。

大浦洋介技術員

大浦 洋介技術員

OPカードの会員さまのイベントは今回で2回目。今回も念入りに準備を重ねました。夏休み中ということもあって、お子さまの参加が前回よりも多かったのですが、アナウンス体験は好評でしたね。ユニークな質問も飛び出して、私たちも楽しかったです。見学会では「カメラのボタンを押してください」と言われることはあるのですが、今回、はじめてお子さまに「一緒にカメラに入って」と言われて、照れくさいものの、少し誇らしかったですね。

2015年11月実施の当イベントの様子はこちらからご覧下さい