月1連載 バックナンバー
小田急沿線にある「音楽を感じる」スポットを、ギター片手に日本中を旅して回るウルフルケイスケさんが訪れます。バンドで上京して以来ずっと小田急沿線を愛するウルフルケイスケさんならではの発見と驚きに満ちた、まさに〝MAGICAL CHAIN〟な瞬間を一緒に体験しましょう!
ライター:谷岡正浩 カメラマン:星野洋介

じつはからすごくになっていた、

というのが今回目的場所「古賀政男音楽博物館」

えて」「東京五輪音頭」など、

日本人なら世代えてでもっているメロディーみの

古賀政男邸宅跡博物館です。

今回大先輩足跡をたどります!

馴染みのある
偉大な先輩たちに
会える場所
代々木上原駅から徒歩五分、どどんと目立つ外観にまずは圧倒されます。この博物館の建つ場所に、元々は古賀政男邸があったというのだから驚き。その敷地面積、なんと3000坪!
1階にある「けやきホール」はクラシックを中心に歌謡曲など幅広いジャンルのコンサートやイベントが行われています。ホールの名称は、古賀政男がけやきの木を愛していたことにちなんでいる。今回解説をしてくださった学芸員の、宮本紘視さんによると、マンドリンの内部を模して作られたのだとか。「へー!」。
2階に上がって「大衆音楽の殿堂」を見学。ここでは、日本の大衆音楽を広く知ってもらいたいということで、作詞家、作曲家、歌手など300人近い人たちを顕彰している。美空ひばり、坂本九、服部良一、西條八十……ビッグネームがズラリ! 「あ、六甲おろし!」。大の阪神タイガースファンのケイスケさんが思わず声をあげたのは、作曲家の古関裕而の顕彰額。古関裕而と言えば、現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルとなった人物だ。ドラマ中にはなんと古賀政男をモデルとした木枯正人なる人物も出てくるのだとか。さらに、忌野清志郎のレリーフも発見! さくらももこ、ムッシュかまやつ……ケイスケさんとも接点のあった方々も多数あって、なんだか懐かしい先輩たちに会えた気分。
地下一階にある資料室では、顕彰者の写真やレコードジャケットなどの資料、そして約8000曲が試聴できる。
「一日中音楽に囲まれて過ごせますね。今度ゆっくり来よう」
細部まで
こだわり抜いた
邸宅内部に潜入!
3階には、「古賀政男の世界」が広がる。もともとこの場所にあった古賀政男邸の一部を移築し、展示している。当時のままの表札と門柱に出迎えられ、そこから玄関に続く石畳のスロープが再現されている。「歌手の方が緊張しながらここを通ってレッスンに通ったということです」と宮本さん。在りし日の古賀邸が想像されておもしろい。主に創作活動をしていたという書斎では、そこにあったピアノを特別に触らせてもらったケイスケさん。もちろん実際に使用していたものということで、「めっちゃ緊張する! ピアノ全然弾かれへんし!」と言いながら、ビートルズの「レット・イット・ビー」のイントロを披露。
日本間で目立つのは竹を使用した欄間や天井。けやきと同じく竹も大好きだったのだとか。「まっすぐ伸び、清涼なイメージがするので好きだったようですね」(宮本さん)。階段の手すりやステンドグラスに施された音符やト音記号のデザインなど、じつに細やかなところにまで本人の意思が感じられる。古賀政男という偉大な音楽家の人間的な一面に触れたような気になる。
DNAに
しっかり刻まれている
古賀メロディー
常設展とは別に、年に3回様々なテーマで古賀メロディーを紹介する企画展も見どころのひとつだ。訪れた3月初旬は「デュエットソング」をテーマに展示が行われていた。古賀政男は4000曲以上を手がけているが、その中にはデュエットソングも多数含まれる。ふと流れてきたのは、ディック・ミネと星玲子が歌って大ヒットした「二人は若い」。耳を澄ましながら、「まだ生まれてない頃のヒット曲なのに口ずさめるってすごいよね」とケイスケさん。たしかに。それがヒット曲の魔法というものなのかもしれない。
常設展では、国民栄誉賞など数々の賞状や盾、それから衣装や年譜などが展示されている。年末の風物詩と言える「レコード大賞」は、当時日本作曲家協会初代会長だった古賀政男が中心となって創設したのだとか。「アメリカのグラミー賞のようなものを日本でも、という思いで制定したようです。最初はレコード会社さんからもあまり協力してもらえなかったという話を聞いています」(宮本さん)。と、ここでレコード大賞の思い出を。
「ウルフルズの『バンザイ』が優秀作品賞をいただいたときに一度だけ出させてもらいました。その時は紅白歌合戦と掛け持ちでバタバタやったのを覚えてる(笑)」。それも偉大な先輩の遺産をきちんと継承している証拠ですね。「そうやね。あとはウルフルケイスケ記念館かな(笑)。歴代テンガロンハットとか飾ってね(笑)」。
  • ▲ ついつい夢中になって見学してしまう。貴重な資料が盛りだくさんだ。

  • ▲ 実際に私邸から移築された門柱と表札。門柱上の電灯の飾りが五線譜になっている。

  • ▲ 古賀邸の模型。左の道路が井ノ頭通り。それに面してあるのが石畳のスロープ。

  • ▲ ステンドグラス。アール・デコ調のト音記号のデザインがめちゃくちゃかわいい!

  • ▲ 書斎右奥に見えるのがピアノ。ここで数々の名曲が生み出された。

  • ▲ 企画展示。蓄音機とレコードが高級品だった時代、庶民は楽譜を買って楽しんだ。

  • ▲ 古賀メロディーの中から1000以上が試聴できる。ここでしか聴けないものもあるとか!

  • ▲ 古賀政男の手形。左の手のひらが右に比べてえぐれたようになっている。ギターやマンドリンのネックの握りすぎでそうなったとか!

  • ▲ 今回丁寧にご案内&解説をしていただいた、学芸員の宮本紘視さんと。

古賀政男音楽博物館
〒151-0064 東京都渋谷区上原3-6-12 (代々木上原駅より徒歩5分)
TEL:03-3460-9051
入館料:一般:550(440)円 / 大高生:440(330)円 / 小中生:220(110)円
※( )内は、10名以上の団体料金です。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、臨時休館する場合があります。
最新の情報は、HPか電話にてご確認ください。