月1連載 バックナンバー
小田急沿線にある「音楽を感じる」スポットを、ギター片手に日本中を旅して回るウルフルケイスケさんが訪れます。バンドで上京して以来ずっと小田急沿線を愛するウルフルケイスケさんならではの発見と驚きに満ちた、まさに〝MAGICAL CHAIN〟な瞬間を一緒に体験しましょう!
ライター:谷岡正浩 カメラマン:本多大介

ドラえもんのメロディ出迎えられて
登戸駅改札をくぐり、そこからいて5分ほど。
目指すおえてきました。
なんと、建物壁面音符装飾が!
そして正面壁面にもきな四分休符があり、
まるで「ちょっとひとみしていけば?」と出迎えてくれているよう。
今回うかがうのは「五線紙」さん。
店名をはじめ、おのそこかしこから音楽好きのムードってきます。
ケイスケさん外観ですでに名店決定
では、サックス装飾されたけて、おじゃましまーす。

音楽愛溢れる店内の
雰囲気にほっこりしつつ
まずは腹ごしらえ!
店の中に入ると、心地よいボリュームでジャズが流れています。
「ええな〜」
ほっこりしたのも束の間、早速メニューを拝見して注文をします。ケイスケさんがチョイスしたのは、「たくわんとしらすのパスタ」(800円)、それと「カボチャ(卵入り)のグラタン」(800円)。
「すごく珍しいパスタとグラタンがたくさんあるね。僕、しらす大好きやから、楽しみ!」
料理ができるのを待っている間も店内をキョロキョロ。 「うーん、ええな〜」とお店の内装や雰囲気に関心しきりです。と、そこへ注文した料理がやって来ました! 
「このボリュームでこの値段は安い! いただきまーす」 パク。もぐもぐ……。
「めーっちゃ、うまい! たくわんとしらすが絶妙にマッチする。そしてこのグラタン! ゴロゴロしたカボチャが入ってるんじゃなくてマッシュした状態のカボチャがふわふわの卵と最高のハーモニーを奏でてる!」
フォークを動かす手が止まらないケイスケさんなのでした。
登戸で40年続く
パスタとグラタンの専門店
でもあえて「スパゲッティ」と呼びたい!
こちらの「五線紙」さん、登戸で約40年営業しているパスタとグラタンの専門店なのです。パスタは40種類、グラタンは30種類と、他では味わえないオリジナルなメニューがたくさんあります。
「昔は喫茶店が全盛期で、パスタとグラタンを専門でやっている店ってあまりなかったんですよ」と教えてくれたのは、マスターの伊藤道夫さん。
気になるのはやっぱり「五線紙」という店名。こちらの由来は?
「音楽が好きだったものですから。お店を始めるにあたって、音楽にちなんだ名前をつけようと思って、いろいろと候補を挙げた中で最終的に今の店名にしました。まだ何もないところから始めるのだから、五線紙にここから音符を書いていくようなイメージがぴったりだなと思いました」
「いいですね〜」とケイスケさん。「このお店の雰囲気、それと40年も続いている歴史を考えると、僕はあえてパスタではなくスパゲッティと呼びたいですね。今はどこに行ってもパスタですから。逆にスパゲッティは新しいかもしれない。それに、堂々とスパゲッティ屋と名乗れるのは、こちらみたいに昭和から続いているお店だけですよ!」
いつになく熱く語るケイスケさん、相当気に入ってますな。
自分の生きる道は自分で決める。
当時の若者の息吹を感じながら――
それにしても気になるのは、随所にこだわりが感じられる内装です。まず、ケイスケさんの座っている背後の壁にかかっている楽譜のレリーフ。こちらは? 「これは、アメリカのジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』です。ビル・エヴァンスが大好きで。ほら」とマスターが指差した方向を見れば、カウンターの端にビル・エヴァンスのポートレートが飾られています。そこは彼の席なんですね。
他にも、椅子やハンガーラックなど、音符の装飾が施されたものが目立ちます。
「飛騨高山にあるオークヴィレッジの仲間にたまたま同級生が加わっていたんですよ。当時はまだ若者が集まって作った団体のような感じで、家具を作り始めていましたね。それで、ちょうどいいというのでお願いして作ってもらったんです」
70年代の若者たちの生きることへの熱量みたいなものが伝わってくる話です。そういうマスターも自分の生きる道を自ら切り開いた一人。 「大学を出て一旦は会社に就職をしましたけど、どうしても自分でお店がやりたかったので、3年ほどで退社して知り合いのお店で修行をさせてもらいました。自分のお店を開いたのは29歳の時でした」
ああ、『ワルツ・フォー・デビイ』のやさしくも情熱的な調べが聴こえてきました。
  • ▲ たくわんとしらすのパスタ。こちらは太麺、200g。パスタは太麺と細麺から選ぶことができる。量は200gが通常であとは量によって値段が変わる。

  • ▲ カボチャ(卵入り)のグラタン。熱々ふわふわの食感がたまりません! 全30種類制覇したい。

  • ▲ 食後、厨房にいるマスター・伊藤さんに思わずご挨拶。「すごくおいしかったです!」

  • ▲ JBLのスピーカー。知り合いの俳優さんの持っていたものを買い取ったのだとか。

  • ▲ 店内で流れるジャズはこちらの真空管アンプから。やっぱりジャズには真空管が合いますね。

  • ▲ さりげないところにも音楽モチーフのオブジェが。マスターの音楽愛が伝わってきます。

  • ▲ 扉と看板に歴史を感じる。これからも地元の人たちの「休符」のようなお店であり続けてくれるだろう。

五線紙
住所:神奈川県川崎市多摩区登戸2578-8
TEL:044-911-9056
営業時間:11:00~15:00
定休日:水曜日

小田急ポイントカードをご提示の方に
「ミニアイス」
プレゼント

※ご飲食をされた方に限ります /
※2021年12月末日まで

次回(4月1日更新予定)は、
Coffee & Beer 轍
Wadachi(百合ヶ丘)に
トリップ!