月1連載 バックナンバー
小田急沿線にある「音楽を感じる」スポットを、ギター片手に日本中を旅して回るウルフルケイスケさんが訪れます。バンドで上京して以来ずっと小田急沿線を愛するウルフルケイスケさんならではの発見と驚きに満ちた、まさに〝MAGICAL CHAIN〟な瞬間を一緒に体験しましょう!
ライター:谷岡正浩 カメラマン:星野洋介

合ヶ丘駅ロータリーけて
道路一本渡り、路地裏へ。
そこにひっそりとむお今回訪れる
「Coffee & Beer 轍 WADACHI」さんです。
けてると、
アナログレコードのあたたかみのある
出迎えてくれます。
真空管アンプJBLスピーカーして
れるサウンドがとにかく心地いい。
そして店内見渡せば、
には自転車展示してあります。
さらにはそのくにアップライトピアノが。
そうえば看板にはさく
こんなキャッチコピーがありました。
「珈琲音楽自転車
看板りなしです。

珈琲と音楽と自転車と
マスターの愛するもの
すべてが詰まったお店
「珈琲と音楽の店はたくさんあるけど、そこに自転車が入っているのは珍しいでしょ?」と言って出迎えてくれたのは、ハットにメガネがお洒落なマスター。
たしかに、とうなずいたケイスケさん。注文したのは、「深煎りブレンド」。こちらで使用している珈琲豆は、王禅寺(川崎)にあるキングスコーヒーさんでじっくりと焙煎したもの。
「おお、深い。たしかに、これは深いですね」
さすが、違いのわかる男。
百合ヶ丘に住んで25年以上になるマスターがここにお店をオープンしたのは2年前。ちょうど令和のスタートとともに始まりました。珈琲も音楽も自転車も、マスターが愛するものを集めたお店、ということなんですね。
ケイスケさんが早速目に留めたのが、アップライトピアノ。こちらは、去年の5月1日のオープン1周年を記念して導入したのだとか。なぜピアノがあるかと言えば、もちろん飾りなんかではありません。
「〈WADACHI WEEKEND LIVE〉と言って、毎週末土曜と日曜の夕方にライブを開催しているんですよ」
「へ〜、そうなんですか!」
路面店ではありますが、騒音問題などもないそうで、結構迫力ある生のライブサウンドが楽しめます。中には、音につられてやってくるお客さんもいるみたいですよ。なんだかヨーロッパのカフェみたいですね。
「地元の人にできるだけ生の音楽を伝えたいなと思って始めました。生のピアノを入れたことで、出演してくれるミュージシャンの熱もグンと上がりましたね」
4月から少しずつライブを再開していく予定のケイスケさん。素敵な会場が見つかりましたね。ちなみに展示されている自転車は、マスターが個人で所有しているコレクションの1台。渋い!
ケイスケさんも太鼓判!
百合ヶ丘で味わえる
大阪の名店メニュー
「水曜日はウヰスキーの日」
店内の看板にそう書いてあります。これは? 「昔は、水曜はノー残業デーと言って、定時で帰る人が多かったんです。それに倣って、早く帰れる水曜にウヰスキーでもどうですか?っていうことで通常よりも安く提供しています。でも実はこれ、大阪の東三国というところにある有名な『ワンショットバーKEITH』が提唱して始めた取り組みなんですよ。そこから今や全国に広まっていますね」
東三国というちょっとマイナーな地名に素早く反応したケイスケさん。地元の吹田市とはかなり近い位置関係にあります。さらにマスターが続けます。
「夜に出しているハイボール(770円)は、大阪の堂島にある老舗サンボア・バーと同じレシピですし、フードメニューのセイロンカツライス(880円)は難波のアメリカ村に古くからある大衆食堂の名店、ニューライトのメニューを参考にしています」
オープン当初はミックスジュースも出していたというマスター、「え、めっちゃ大阪の味が楽しめるじゃないですか!?」とケイスケさんが驚くのももっともです。
実はマスター、8年ほど大阪に住んでいたことがあったとのこと。
「なるほどね。いや〜、まさか百合ヶ丘で大阪の味に出会えるとは!」
がむしゃらに歩んできた道を
振り返った時に何が見えるだろう?
広告代理店をリタイアしたマスター、しばらくはぶらぶらしていたそうで、趣味の自転車や旅行に行ったりと最初のうちは良かったのですが……。
「そのうち、ほんっとうに暇を持て余すようになって(笑)、お店でも始めてみようかなって思ったんです」
そこで企画書を作って奥さんにプレゼンしたのだとか。さすが広告代理店出身!
「でもなかなかOKが出なくて、8回目のプレゼンでようやく(笑)」
店名にもなっている「轍」にはこんな思いが込められています。
「若い時代は前へ前へで、もっといい仕事しようとか、もっと稼ごうとか、そういう感じで進むばっかりなんですけど、ある程度時間が経った時に振り返る瞬間というのが必ず来るんですよね。そうして振り返って見たら、自分の歩んできた跡が轍として残っているんです。決してキレイな跡ではないけれど、でもそれこそが生きてきた証なのかなって思うんですよね。だからこのお店では、ちょっと立ち止まって振り返る時間を過ごしてもらえたらうれしいです」
「それはミュージシャンも同じですね」と深く納得したケイスケさん。「ある時期、それまでCDセールスが3,000枚とかだったのが、いきなり100万枚になったから、ブレイクしたうれしさも感じる間もなくいろんなことが進んでいった印象ですね。でもそういう経験ができたこと自体が幸せですね、振り返れば。それがあったからこそ、今も音楽を続けられているわけで」
そしてケイスケさん、マスターにこう語りかけます。
「このお店も5年、10年と経って、そこで振り返った時にどんな景色が見えるのか、楽しみですね」
「この街の交差点になりたいってホームページにも書いたんですけど、だんだんそういうふうになってきたかなという気がします。ここにいろんな人が来て、そこで出会ったり、音楽との出会いがあったりしてくれたらうれしいですね」
  • ▲ カウンターにあるダイヤル式の黒電話。これ、ちゃんとつながっているんです。取材中もリンリンと元気にベルが鳴り出しました。

  • ▲ 店内で流れる音楽はすべてアナログレコードの音源。やっぱりアナログの音は落ち着きますね。

  • ▲ お店の名刺。木版画風のイラストがお店の雰囲気にマッチしています。小さく「珈琲と音楽と自転車と」のキャッチコピーが。

  • ▲ お店の奥に飾ってある自転車。3カ月に1回のペースで展示される自転車が変わる。約30台所有されているそうです。

  • ▲ 週末のライブだけではなく、「ジャズレコードを聴く会」を月に1回開催している。こちらは第6回目のプログラム。

  • ▲ たまたまジョン・リー・フッカーのTシャツを着てきたら大当たり! マスターの友人がセレクトしてくれたケイスケさんの好きそうなレコードの中にありました。

  • ▲ 普段はジャズが流れる店内ですが今回は特別にケイスケさんが大好きなサム・クックのライブ盤をかけていただきました。

  • ▲ どうしても食べたくなってナポリタンをオーダー(880円)。もちもち太麺で懐かしいんだけど上品な味わい。

  • ▲ こちらが外観。週末の夕方にここから生のサウンドが流れるところを想像するとワクワクしますね。

Coffee & Beer 轍 WADACHI
住所:神奈川県川崎市麻生区百合丘1-1-8 コトー百合丘1F
TEL:044 - 819 - 8170
営業時間:水曜〜土曜 11時開店 21時閉店
日曜・祝日 11時開店 20時 閉店
定休日:月曜・火曜

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