特集・コラム

映画のとびら

2021年11月12日

アイス・ロード|映画のとびら #149【ポスタープレゼント】

#149
アイス・ロード
2021年11月12日公開
★「アイス・ロード」のポスターを抽選で2名さまにプレゼント!<応募受付終了>

© 2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
『アイス・ロード』レビュー
「スター映画」の氷は簡単には割れない

 リーアム・ニーソンが巨大トラックを駆って人命救助に挑むアクション。撮影監督に近年のクリント・イーストウッド作品で腕を鳴らすトム・スターンを迎え、危険な氷上でスリリングな戦いのドラマが展開する。監督は『ジュマンジ』(1995)、『ダイ・ハード3』(1995)、『アルマゲドン』(1998)といったヒット作の脚本家として知られるジョナサン・ヘンズリー。

 カナダ北部・マニトバのダイヤモンド鉱山でメタンガスの充満に起因する爆発事故が勃発。ふさがれた坑道の奥には26人の作業員が残されてしまった。このままでは30時間で全員が窒息死してしまう。救出するための装置はあまりに巨大で重く、空輸は不可能。トラックによる陸路輸送しか選択肢はなかった。それも、春を迎え、氷が溶けかかっている危険な湖上の道(アイス・ロード)を走破しないと間に合わない。依頼を受けた運輸会社の経営者ジム・ゴールデンロット(ローレンス・フィッシュバーン)は早速、共に行動できそうな運転手のオーディションを開始。選ばれたのはアイス・ロード走破の経験者でもあるマイク・マッキャン(リーアム・ニーソン)とその弟で整備士のガーティ(マーカス・トーマス)のコンビ。彼らに加え、ジムの元部下の先住民女性タントゥー(アンバー・ミッドサンダー)、保険会社社員トム・バルネイ(ベンジャミン・ウォーカー)も同行することになった。計3台のトラックのうち、どれか1台が現地に着けばOK。走破し終えた人間だけが報酬の20万ドルを山分けできるという条件だったが、速く走りすぎても遅すぎても割れてしまう氷の道はまさに決死の地獄道。誰もが不安に駆られる中、ジムが運転するトラックで謎のエンジン・トラブルが発生。急停車した車をなんとかしようとマイクはジムのもとへと駆け寄るが、激しいきしみとともに氷が裂け、トラックは後輪部分からみるみる沈んでいくのであった。

 監督のジョナサン・ヘンズリーによれば、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『恐怖の報酬』(1953)を下敷きにしたとのこと。気分としては、運搬する荷物がニトログリセリンから救出機材に変わっただけ、としていい。実際、巨大トラックを駆使しての生身のアクション表現が心がけられており、ロケも映画の舞台となる氷結のウィニペグ湖で敢行。御年69歳のリーアム・ニーソンも湖に飛び込むスタントを自らこなすなど、安易に特殊撮影で逃げようとしない本物志向がまず見もの。『恐怖の報酬』と異なるのは、人命救助が前提になっていることと、運搬計画に陰謀の魔の手が伸びるというくだり。敵は自然だけでなく、人間も、ということである。自然だけに徹してほしかったという声もあるだろうが、その「裏切り者」がなかなか嫌味な奴。満を持して正義の鉄槌を食らわすニーソンに溜飲が下がる観客も多いはずだ。

 ヘンズリーは『恐怖の報酬』だけでなく、アメリカの文豪ジョン・スタインベックの『二十日鼠と人間』(1937年出版)も設定に絡めている。具体的には、マイクの弟ガーティにイラク戦争の従軍経験があり、銃弾を受けた後遺症で失語症を患っているというもの。ついつい周囲との軋轢(あつれき)を生んでしまう弟の存在に悩みながらも、愛さずにはいられないニーソンの主人公は人間味に厚く、その思いやりの心は見る者の心をもれなく温かくする。まさにスタインベック小説の季節労働者兄弟に通じる文学性。おまけに、映画では先住民女性の兄貴も実は坑道に閉じ込められているというスリルもついてくる。

 実際のところ、「氷の道」での格闘は前半でほぼ終了する。それでは「アイス・ロード」の題名に偽りありではないか、などと怒るなかれ。氷の道だけでも目の離せない困難が目白押し。割れた氷に没しそうになるトラックを引き上げようとし、横転したトラックまで元に戻してしまうなど、トラック野郎たちの技術と努力にも感心することしきりだろう。そして、物語は「山の道」へと新たに発展していくのである。

 そんなところでそんな人まで死なさなくてもいいのに、という部分もあり、監督の脚本と演出力に疑問は拭えない。だが、ニーソンの人情豊かな魂はそれらを補ってあまりある。ニーソンを見ているだけで十分。「スター映画」とはこれ。現代きってのアクション俳優、その信頼の氷は簡単には割れたりしない。

 11月12日(金)全国ロードショー
原題:The Ice Road / 製作年:2021年 / 製作国:アメリカ / 上映時間:109分 / 配給:ギャガ / 監督・脚本:ジョナサン・ヘンズリー / 出演:リーアム・ニーソン、ローレンス・フィッシュバーン、マーカス・トーマス、アンバー・ミッドサンダー、ベンジャミン・ウォーカー
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<応募期間:
2021年11月12日(金)~24日(水)>

※当選者の発表はポスターの発送をもってかえさせていただきます。


 

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こんな「トラック映画」はいかが

 トラック運転手を描いた映画となると、東映製作の名物シリーズ『トラック野郎』がすぐに思い浮かぶだろう。菅原文太を主人公の桃次郎に、愛川欽也を相棒のやもめのジョナサンに配した鈴木則文監督によるコミカル活劇は『トラック野郎 御意見無用』(1975)を皮切りに、『トラック野郎 故郷特急便』(1979)まで、5年間に10作品を量産する人気シリーズとなった。人情家の桃次郎が毎回、美女に惚れてはフラれを繰り返し、ドカンと笑わせたかと思えば、クライマックスでは派手なデコトラ(デコレーショントラック)を爆走させて輸送不能なミッションを完遂させる。そのスカッと痛快な展開は今見ても楽しい。

 サム・ペキンパー監督、クリス・クリストファーソン主演の『コンボイ』(1978)では、悪徳保安官に立ち向かう男たちが190台のトラックを一挙に走らせる。ジョナサン・カプラン監督、ジャン=マイケル・ヴィンセント主演の『爆走トラック’76』(1975)は悪徳運送業者に戦いを挑む青年運転手の物語。

 巨大トラックがセールスマンにストーキングを繰り返す路上スリラーといえば、スティーヴン・スピルバーグのテレビ用映画(日本では劇場公開)『激突!』(1971)。

 ハル・ニーダム監督の『トランザム7000』(1977)ではバート・レイノルズのトラック運転手がアトランタ/テキサス間を爆走する。アメリカ版『トラック野郎』という風情もある!?

 クリント・イーストウッドがトラック運転手を演じるのが『ダーティファイター』(1978)とその続編『ダーティファイター 燃えよ鉄拳』(1980)。トラックそのものより、イーストウッド演じる主人公ファイロが見せるストリートファイトやロマンスが楽しい。

 シルヴェスター・スタローンもトラックに乗っている。その作品『オーバー・ザ・トップ』(1987)では、腕相撲の試合を通して息子との絆を修復しようとする運転手役。ムキムキの筋肉対決に熱くなろう。

文/賀来タクト(かく・たくと)
1966年生まれ。文筆家。映画、テレビ、舞台を中心に取材・執筆・編集活動、および音楽公演の企画、講演活動も行う。現在『キネマ旬報』にて映画音楽コラム『映画音楽を聴かない日なんてない』を隔号連載中。

 

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