特集・コラム
映画のとびら
2021年12月2日
ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ|映画のとびら #153【グッズプレゼント】
マーベル・コミック史上、屈指の異形キャラクター「ヴェノム」の大暴れを描くシリーズ第2弾。ヴェノムに負けず、強烈な個性を誇る「カーネイジ」との対決を主軸に再びスリリングなアクションが展開していく。前作に続いてヴェノムを演じるトム・ハーディは原案とプロデュースを兼任。相手役のカーネイジことクレタス・キャサディには、そのキャラクターに匹敵する個性派ウディ・ハレルソンが登板。監督は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(2001-2003)のゴラム役、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)のユリシーズ・クロウ役などの俳優業で知られるアンディ・サーキス。全米では10月1日に劇場公開され、最初の週末だけで9010万ドルをたたき出す大ヒットとなっている。
「悪人以外は食べない」という条件でエディ(トム・ハーディ)の体に寄生している地球外生命体「シンビオート」のヴェノムは、締め付けの多い生活にフラストレーションがたまりまくり。今日もイライラしながらエディと口げんかを続けている。そんなヴェノムに手を焼きながらも、エディはジャーナリストとして、ひとりの連続殺人鬼の取材に焦点を定めていた。その殺人鬼とはクレタス・キャサディ(ウディ・ハレルソン)。頑強な独房に閉じ込められ、死刑執行の日を待つばかりとなっている彼に、牢越しの取材ということで、エディは油断していたのだろう。うっかり、クレタスに腕を噛まれてしまう。その結果、エディの血をすすったクレタスは、さらに凶悪なカーネイジへと変貌。世界を瞬く間に混乱に陥れるのだった。
副題の「そこに殺しあれ」とは、旧約聖書の「そこに光あれ」をもじった表現。そもそも「大殺戮」という意味の名前を持つ新キャラクター、カーネイジの存在からして、事態は穏やかではない。「毒」の意味を持ったヴェノム一体でもにぎやかだったところへ、とうとう勃発してしまう「大殺戮」と二体の大げんか。より激しいバトルを期待するシリーズのファンにとってはたまらない新展開だ。
もとより、カーネイジはマーベル・コミックきっての危険な人気キャラクター。原作ではヴェノムとスパイダーマンが協力して対処するほどの厄介な強敵で、当然、連続殺人鬼クレタスの狂気も重なっている。そこに今回はエディとクレタス、それぞれの恋人との「事情」も加味することで、コミックを知らない向きにもドラマティックかつスペクタクルなクライマックスへとなだれ込んでいく。
「キモ可笑しい」と表現するべきだろうか。地球外生命体二体をめぐるドラマは残酷な側面がある一方、コミカルでもある。前作と同様、今回も「ひとり相撲」=同じ体を共有しているエディとヴェノムのいがみ合いは変わらない。その状況は監督のアンディ・サーキスが指摘するように、まさにロバート・ルイス・スティーヴンスン著『ジキル博士とハイド氏』の変奏であり、日本の漫画でいえば岩明均の『寄生獣』だろう。イマドキ感満載の「笑い×残酷」には、思い切り頭を空っぽにして振り回されたいところ。
実のところ、ウディ・ハレルソン演じるクレタス・キャサディは、前作『ヴェノム』(2018)のラストですでに登場済み。それがどんな「予告編」となっているか、今一度、予習&復習してみるのも一興だ。また、予告編といえば、今回のエンディングにも同様の「仕掛け」が施されている。そこからどんな新たなマーベル的「バース(宇宙)」が広がろうとしているのか、それぞれの目で確かめていただきたい。
1966年生まれ。文筆家。映画、テレビ、舞台を中心に取材・執筆・編集活動、および音楽公演の企画、講演活動も行う。現在『キネマ旬報』にて映画音楽コラム『映画音楽を聴かない日なんてない』を隔号連載中。
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