日本最大の霊峰、その全景が眼前に迫ってくる。まさに、絶景。この眺望が何よりの財産になっているといっていい。
「しっかり三角型の富士山。いつ見てもホッとします。“今日もきれいだな”と思いながら仕事に励んでいます」
昨年12月15日の開業以来、営業マネジャーを務める池谷修平さんは、窓外の景色に目を細めながら、高台に建てられた日帰り温泉「木の花の湯」の好立地をまず喜ぶ。
「夜は御殿場の夜景もきれいです。登山者がいれば、その灯りで稜線が浮き上がってまた別の富士山が味わえますよ」
富士の噴火を鎮めたといわれる女神「木花咲耶姫(このはなのさくやひめ)」に館名は由来する。古民家風の造り、自家源泉の湯、露天の岩風呂には富士の溶岩を使用。女神よろしく、随所の配慮が目にも心にも優しい。
「昔ながらの木の温もりや“和”を感じていただければ、と。源泉は、ぬめりのある弱アルカリ性。美肌の効能があります。美しい神様の思し召しなのか、美容にいいお湯が出ました」
隣接する「御殿場プレミアム・アウトレット」の来場者が主な顧客。中には丸一日、滞在する人もいるという。歩き疲れた体を癒やすには想像以上のひとときがここにある。
「掲げているのは“心温まるおもてなし”。お客さまが何を感じ、求めていらっしゃるのか。それを反映することで、少しでも過ごしやすい空間の提供ができればと思っています」
前職はホテルマン。事務所に職場の意見を集めるボードを設置するなど、池谷さんの心配りは表舞台にとどまらない。
「お客さまの声をダイレクトに聞くのは若いスタッフ。彼らに意見を出すだけでなく、考えていることを実践してもらうことで、より良い接客の向上につながればいいなと」
人によって「心の温もり」は初めて生まれる。「やってみたいこと」を大切にして人も施設も成長させたい、と意気込む。
「まだまだ始まったばかり。コロナのことも含め、お客さまのニーズはさらに多様化するはず。“責任”が“やりがい”になるよう、働きがいのある環境を作っていきたいですね」
源泉もスタッフも熱いリゾート型の日帰り温泉、試す価値は富士の山ほどに大きい。
< 写真/星野洋介 文/賀来タクト >
[住所]静岡県御殿場市深沢2839-1
[TEL]0550-81-0330(自動音声ダイヤル)
[営業時間]10:30~最終受付21:00(22:00終了)
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