「小田急まなたび」の講師としておなじみの菅原さん。その肩書きは「歴史空想探究家」と、かなりユニークなものだ。
「歴史は書類がないと歴史として認められない。でも、日本では都合の悪いものは全部、燃やされている。そこを掘り下げるのが僕。だから、そんな肩書きをつけています」
今年57歳の達人は、歴史を愛するがゆえに一家言を持つ。
「僕にとって、歴史は覚えるものではなく、考えるもの。考えることで、ロマンや楽しみが生まれてくるんです」
堅苦しく構える必要はない。ちょっとした「まち歩き」でも歴史は簡単に見つかるという。
「道には知らないことがいっぱい落ちている。石ころひとつにも歴史があるんです。歩くとき、ちょっと目線を変えるだけで、新しい発見がある。僕はその見つける面白さ、解釈する楽しさのお手伝いをさせていただいているだけです」
「まち歩き」を「いちばんの娯楽」と語る。
「僕にとって『まち』は遊園地。『まち』を楽しむことで『まち』自体も活性化する。こんな面白いことはありません」
幼少期は親の影響でアメリカ製の映画、ドラマに熱中。特に西部劇に思い入れ、長じてカウボーイに憧れた。
「アメフトをやっていたんですが、ひざを壊して就職がなくなり、冬の北海道へ旅をし、牧場で働き始めました」
牧場での4年間で乗馬、馬の調教を習得。その特技が生きて、旅行会社に入社後、アメリカの営業所へ。アリゾナの牧場で気に入られ、カウボーイの免許をもらった。同時に、日本の侍がアリゾナまで来た逸話、ナバホ族の言語が日本の文法と構造が同じことなどを教えられ、衝撃を受ける。
「自分は日本のことを何にも知らない。日本人なのに。なんて恥ずかしいんだと思って、歴史を学び始めたんです。今も学び続けていますね。いまだに終わっていません」
「小田急まなたび」という企画にも強く共感している。
「ひとつのテーマを掘り下げていて、そこに行かないと見られない、聞けない『学び』がある。すごくいい。僕自身も学びたくなる。今後、より必要になってくる企画だと思います」
見慣れた景色も新しくなる。そんな喜びに夢中になるのは、次はきっとあなただ。
< 写真/星野洋介 文/賀来タクト >
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