STANDARD FLOWER Vol.12 願いを込めた、年初の松。

フラワーアーティストの前田有紀さんが、「もっと気軽に暮らしに花を」をテーマに、季節を代表する花とその楽しみ方を紹介する「STANDARD FLOWER. by YUKI MAEDA」。気軽に手に入る見慣れたお花でもちょっとした工夫で、毎日を素敵に彩ってくれるはず。
2019年の締めくくりは「松」。ダイナミックな樹木の印象がありますが、ちょっとした工夫で「縁起物」として年始を素敵に飾る草花として生活に取り入れやすくなるそうです。

前田有紀

フラワーアーティスト。元テレビ朝日アナウンサー。10年間テレビ局に勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロセスター州の古城で見習いガーデナーとして働いたのち、都内のフラワーショップで２年半の修行を積む。｢人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい！」という思いから、イベントやウエディングの装飾や作品制作など、さまざまな空間での花のあり方を提案する｡

和モダンの佇まいで
スタイリッシュに。

お正月は、１年のはじまりを告げる特別な時季。「新年」と聞いてみなさんが思い出されるのはどんな草花ですか？私が最初に思い出すのは「松」です。年末になると、お花屋さんの店頭でも松がずらりと並びます。普段、お店ではあまり見かけない草花ですが、びっくりするほど買い求める人が多く、日本人にとって大切な存在であることを感じます。「松」と聞くと立派で和風なお庭にどーんと植えるイメージがありますよね。お部屋に飾るイメージはあまりないかも知れません。でも、実際にアレンジしてみると、どんな草花と合わせてもシャープな和モダンの佇まいに変えてくれる合わせやすいアイテムなんです。今回は“大王松”という葉先の長い松を使ってアレンジメントを作りました。オーソドックスに、松と菊を飾るときには、力強い印象の松を馴染ませるような線の細いお花も添えることを意識するとまとまりやすいです。ワンルームや玄関など、広いスペースがなくても、小さめの器に好きな花を生けて、ちょこんと松の葉を添えるだけでも素敵な印象で飾れます。

幸せな一年であるように、
願いを込めて。

私にとっても松はとても思い入れがあります。小さな頃に、大好きだったおばあちゃんと旅行に行った際のこと。沼津の千本松原を見ながら、「ゆきちゃん、みてごらん。あそこにたくさんの松が植えられているんだよ。千本松というんだよ。」と教えてくれたことを覚えています。そのときは「へぇーそんな木があるんだ」と子供心に思っただけでしたが、不思議なもので大人になってからも沼津を通るたび、景色の中に千本松を探している自分がいます。そして、おばあちゃんの優しい笑顔を思い出します。私も3歳になる息子にいろいろな草花や樹木の名前を、そしてその植物にまつわるストーリーを、笑顔でたくさん教えてあげたいなと思っています。さて、2019年もいよいよ年の瀬。2020年も皆さんにとって素晴らしい1年になることをお祈りしています。松は冬の寒さに耐えて、美しい緑色を保ち力強く咲き、また数千年の樹齢を持つことから、「縁起物」とされています。幸せで豊かな１年を過ごせるように願って松を飾ってみましょう。今年も、ありがとうございました。皆さんもご家族とよい年をお迎えください。

前田有紀さんが手掛ける
お花屋さん〈gui〉が
小田急百貨店新宿店にて
POP UP SHOPを開催します。

〈gui〉 POP UP SHOP

「花とあなたが出会う場所」をコンセプトにした、お店のない花屋“gui”。
これまで花がなかった場所にどんどん花を持ち出して、たくさんの人と花が出会う場になる花屋です。
今回のpop up shopでは、オリジナルフラワーアクセサリーや、スワッグ、ブーケなどのラインアップをお届けするほか、flower designチームが手がけるニットと花を融合したアート作品も展示予定。

日　時：2020年1月8日（水）～1月21日（火）
　　　　朝10：00～夜8：30（日曜・祝日は夜8：00まで）
場　所：小田急百貨店新宿店本館2階＝サンドリーズ・アレー〈スウィングスペース〉
Special Present：
店頭にてスタッフに本コラム画面を提示していただいた方に花一輪のプレゼント。