2016年4月22日オープン。秦野市の情緒に大正ロマンというコンセプトを掛け合わせ、店名に収めたその飲食店は、目に優しい内装がまず大きく目を引く特徴となっている。
「日本と西洋の文化が混在した大正期は、みんなが上を向いて明るく生きていた時代。ご年輩の方には懐かしさ、若い人にはレトロな中に新しさを感じてもらえたら、と」
店内の温もりそのままの笑顔をたたえる小桧山茂雄さんは「だしソムリエ」の資格も持つ。地産地消をモットーに編み出される絶品料理の数々に、舌鼓を打つ常連客が多いのも納得だ。もっとも、料理だけがこのお店のメニューではない。
「人が人を呼ぶ“人検索”の場にしたいんです。“あそこに行けば何かある。何かのきっかけがもらえるかもしれない”。みなさんがそんなふうに思ってもらえたら最高ですね」
一介の会社員だった8年前、飲食店を営む夢を持つ一方、小桧山さんは地域活性化団体『ココハダ』を仲間と立ち上げ、秦野という街を生かすための活動に没頭してきた。
「この素敵な街をただ生活の場にしておくだけではもったいない、と。でも、貢献事業だけの“現状維持”で終わらせたくはありませんでした。地球でいえば、僕ら『ココハダ』はマントル。グツグツと地表を沸騰させ、活性化を進めることで、地域への貢献につなげられたらいいなと思っています」
階上にコワーキングスペースも備えた店舗は、飲食を通して「人とのセッション」が弾む社交の場であり、活性化活動のための作戦基地だともいえる。いや、そのなごやかさにおいて「サロン」という表現の方が似つかわしいだろうか。
「やっぱり“人”ですよね。人と人が出会うことで、街を生かすためのアイデアも生まれてくると信じています」
表情は穏やかだが、心意気は熱い。「やるからには一番を目指すつもりでがんばりたい」と声を弾ませる。
「お店も地域も一緒に盛り上げたいです!かなうなら“地方活性”の手本になりたいですね。今後も地道に地域のみなさんと努力を続けるつもりですし、それが僕の人生です」
今年45歳。「まだまだここから」と加える。挑戦のロマンを秦野にてご賞味あれ。
< 写真/星野洋介 文/賀来タクト >
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