まちのプロフェッショナル OP PERSONVol.45

長坂博幸さん

キッチンと接客サービス
あわせて満点になるようにしたい
オーナー・シェフ 長坂博幸ながさかひろゆきさん/トラットリア&バールオーバー

長坂博幸さん
お客さまにワインを手渡す長坂さん。
  1. 1 2  店内の壁は大きな黒板になっており、そこに踊る楽しげなレタリングやイラストは、長坂さんの奥さまと長坂さん自身によるもの。ポスターも長坂さん自身がデザインしている。
  2. 3  旬のあさりを使用して、インスタ映えもするボンゴレビアンコ。
  3. ガーリックミート(979円)も、見た目は地味ながら、長坂さんがお店の柱メニューに育て上げた料理のひとつだ。「シンプルなものが好きです。シンプルなものこそ料理の腕がわかりますし、他店との違いもご理解いただけると思います。イタリアンバジルとレモンをかけただけで食べる麺もおいしいですよ」(長坂)。

母を手伝うことで知った「喜ぶ顔を見る」喜び

 1998年2月に玉川学園駅前にオープン。24年という歳月だけを数えれば、もう老舗といってもいい。「自分では実感がないですけどね(笑)。お客さまの支えがあったからこそ生き残れたのでしょう。それがいちばんです」
 今年57歳。長坂さんの料理人生は、幼少の頃、母親の手伝いをする中で静かに始まったという。「米とぎや下ごしらえの手伝いですね。自分の好きなものを作れるというのが楽しかった。でも、サラリーマン家庭でしたし、シェフを仕事にするなんて考えもしませんでした」
 最初は自動車会社に就職。しかし「何か違う」と感じ、飲食系の会社を転職先に探した。21歳のこと。「まず、お客さまとコミュニケーションのある仕事がしたかった。その延長で調理もできたら、と考えていました」
 やがて大阪の系列会社へ転じ、イタリアンと出合う。関西弁シェフのもと、厳しくも楽しい10年が続いた。まだイタリア料理の専門店など少ない時代。全部が新鮮だった。「がんばったらシェフみたいになれるんじゃないか。がんばって、あの人みたいになってみたい。そんな思いでやっていました」
 そのシェフの勧めもあって、32歳で独立。玉川学園前の物件は、たまたま紹介され、見つけたとのこと。「当時は“料理がうまければ、どこに店を出してもお客は来る”みたいな考えの時代でした。でも、立地はすごく大事。玉川学園の学生さんもいらっしゃいますが、今、支持されているのは意外と自分よりも上の世代。イタリアンでこれだけ年配の方がいらっしゃる店も珍しいのではないのですか」
 店内にはシニア向けの落ち着いたジャズが流れている。オシャレな小物やエジソンランプもムードを高めていて、若い客層にとっても飽きの来ない食の場を形作っている。「キッチンと接客サービスの両方が大事。あわせて満点になるようにしたい。喜ぶ顔を見るのがいちばんうれしい。家の手伝いもそうでした。手伝えば母が喜んでくれましたから」
 達成感はまだない。果てのない好奇心がそれを許さない。「もっと違う環境でもやってみたいですね。もっとお客さまに喜んでもらえるよう、守りに入らないようにしたいです」
 自信のパスタは、麺のコシとモチモチ感がクセになるようなおいしさ。まさに、絶品。常連客の舌は、正しい。

< 写真/星野洋介 文/賀来タクト >

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Trattoria & Bar Over(トラットリア & バール オーバー)

[住所]東京都町田市玉川学園2-21-37 小田急マルシェ1F(小田急線玉川学園前駅徒歩1分) 
[TEL]042-725-0780 [ホームページ] https://over-company.com
[営業時間]11:00~22:00(L.O. 21:00)/火曜定休

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