「湯寮」とは、かの北大路魯山人が開いた高級料亭「茶寮」にちなんだもの。「箱根の湯を楽しみながら、おいしい料理も食べられる場所」との意を込めた店名だという。「交通の利便性がよく、周りには自然もいっぱい。料理はホテルで経験を積んできた料理長の手によるもの。お値段以上のサービスを味わっていただけることと思います」
2013年3月の開業以来、オープンスタッフとして勤めてきた中村さんは、帳場(フロント)での接客から予約対応、大浴場の清掃、経理に至るまで大車輪の活躍。広い館内は通路を移動するだけで汗が吹き出す。ちょっとした肉体労働だ。「シフトによっては1日で1万歩くらい動くときもあります。箱根湯寮のスタッフは皆、体力が自然につくんです(笑)」
体を使う仕事の中では「ロウリュウ」がその最たるもの。熱気がこもるサウナ室で、お客さまひとりにつき10回、大きなうちわで水蒸気を送っている。「10人いたら100回あおぐ、みたいな(笑)。終わった後に拍手もいただけて、お客さまとの距離も近くなる。やりがいは大きいです。コロナ禍の前は一度に27人の方をお相手させていただきました。もちろん、ヘルプ付きですけど(笑)」
これまで自動車販売店舗での経理や飲食業を経験。徐々に接客に重点を置いた仕事を求めるようになったという。「接客が好き。今では接客のない仕事なんて考えられないし、もうできません(笑)。お客さまに喜んでいただくのがうれしいですし、それをいつも身近に感じていたい」
仕事が趣味、みたいな部分がある。「気晴らしはランニング」というが、それも結局、仕事につながっている。「仕事が終わったあと、ぐったりするのが嫌なんです。個人的にはメンタルが弱いのが悩み。弱いからこそ、体力をつけて、疲れにくい体にしようとしているところがありますね」
鳥のさえずりが何度も美しく響きわたった。スピーカーを使っての雰囲気作りかと思えば、すべて本物だという。「夏はヒグラシの鳴き声も気持ちいいです。自然にふれながら、ぜひロウリュウをお試しください。全身から汗が出て健康的。血流もよくなって、疲れがすっかりとれますから」
湯に浴し、森林に浴す。日帰り温泉の時間は、勤勉すぎる営業キャプテンの努力とうちわによって一層、豊かになる。
< 写真/星野洋介 文/賀来タクト >
[住所]
神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤4
[営業時間]
平日 10:00~20:00 /
土・日・祝 10:00~21:00
小田急ポイントカード会員さま特典
食事処「囲炉裏茶寮 八里」
お会計時に10%OFF
<期間>9月1日(木)~30日(金)
人気記事ランキング
最新情報