仕入企画 増田直也(ますだなおや)さん/小田急フローリスト
小田急フローリストの増田直也さんは、いつも人よりも早い季節を生きている。秋にはシクラメンのことを考え、冬にはチューリップ、春にはもう紫陽花を心配している。なぜなら必要とされるタイミングでその花が揃えられるのかどうか、確認し、手配するのが仕入れ担当の増田さんの仕事だからだ。
「生産地に行って生育状況を確認することもあります。農家さんからは『天気と相談だからわからないよ!』と毎年言われるのですが(笑)、それでもきちんと揃えてくれるので、本当に読みがスゴイなと思っています。今は市場に行かなくても、インターネットで仕入れることが可能なんですが、やはり実際の花を見ないとわからないことも多いんです。季節が少し動くタイミングで、月に数回は大田市場に足を運ぶようにしています」
増田さんは切り花ではなく、鉢植えを主に担当している。今では店頭に立つことはほとんどないが、かつての経験から、鉢植えが購入した人々の暮らしと共にあることを熟知している。
「1年経って、去年植えた柑橘の鉢植えに実がついたことをお客さまに教えてもらったりするんです。花鉢でも同じ。しっかり庭に根付いたかどうか、翌年に正解が出る種類もある。ですから単に花が綺麗に咲いているものではなく、根がしっかり回った良質なものを選ばなければと思いますね。植物はコミュニケーションを生み出してくれる。育てる喜びと、そこからつながる喜びがあって、花はいいなあといつも思っています(笑)」
1/情報共有のために鉢を撮影する増田さん。実際に植物を見て、生育状況などを把握する。2/仕入れたばかりの鉢植え。大田市場から、それぞれの店舗に運ばれる。
3/平成元年に移転した大田市場。全国から花が届く。4/増田さんが仕入れた花鉢が、店頭に並んでいた。
撮影協力/東京都中央卸売市場 大田市場・株式会社フラワーオークションジャパン
写真/平野太呂
文/村岡俊也
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